「心の交流会」に参加 (2年1ヶ月)
5月10日 蒲田リハビリ病院で開かれた高次脳機能障害を持つ患者さんと家族の会「心の交流会」に参加した
患者さんとご家族、16人ほどが参加。病院のセラピストさんたちの手助けで、患者さんたちが自分の現状を話したり、聞きたいことを尋ねたり。
入院中で車椅子の方もいれば、会社の経営に復帰した人まで、様々なステージの人が集う。
最初に”紙コップボール送り”のゲーム。場の雰囲気が笑い声でほぐれていく。
そして、それぞれの自己紹介。「高次脳機能障害に気がついたきっかけ」を話していく。
一見患者さんには見えない、言葉にも体にも問題がなさそうに見える人もいる。
でも話していくとみんな一様に、以前の自分と違ってしまった自分をどう受け入れ、どう社会と向き合っていくか、日々悩み、試行錯誤し、時に傷つき、自分を鼓舞しながら生きているのが伝わってくる
脳の損傷の原因も様々
倒れた時に頭を打って頭蓋骨が外れてしまった、バイクの事故で1ヶ月近く意識が戻らなかった、クリーニング店で仕事をしていたら突然伝票にの数字がめちゃめちゃになり、お客さんが病院に連絡してくれた、コロナにかかって3日目に突然倒れた.....
言語の困難が強いのは、海ちゃんともう一人。その人は一生懸命に「もどかしい」という言葉を探し出していた
入院中で車椅子で参加した男性は、現在の気持ちを「以前の自分が今の自分を嘲笑う」と表現し、退院後について、どうしたらいいのだろう、とみんなに尋ねた
50代の男性が答えた
退院後、一人で動けるだろうと思っていたけど、駅にいくとぶつかったり、突き飛ばされたりする。人から信用されなくなんじゃないかと怖くて、ヘルプマークをつけるのをためらっていたけど、無理をして自立を装っても、苦しいだけだし、無理だ、と判った。
だから、焦らない、急がない。
そして、周りにも自分の状態が伝わるように工夫する。
疲れやすいなら、ヘルプマークに加えて、杖を持つ。
以前のと同じことすらできない自分に毎日落胆するけれど、そこを起点にすれば、一歩でも前には進むことができるし、それをやり続けるしかないから。
仕事への復帰について、会社経営をしている男性が話してくれた
「もう誰も待っていてくれないと思ったけれど、待っていてくれる人はいるんです。数は半分になるかもしれない、でも、その人たちのために続けていけば良いと思う」
「助けはどんどん求めていいんです。助けてくれる人は自分が思っているよりずっと、いますから」
海ちゃんが経験してきたことがそのまま重なる。
生徒さんや、バンドの仲間や、聞きに来てくれる人がずっといてくれたこと。
せっかく仕事のお誘いをもらったのに、譜面が以前のように読めなくて断らざるを得なくて声を出して泣いたこと。
嬉しいことも悲しいことも。
皆さんほぼ通常のテンポで会話をしている中、海ちゃんは「脳梗塞から2年、これから」というテーマで話をした。「みなさんはちゃんとしていて、病気とわからないんですが、でもいろいろあるんだと思います。僕は元には戻らないし、前と同じにはできないけれど、新しい自分を作れるよう、がんばります。がんばりましょう」何度か言葉を繰り返しながら、噛みしめるように、話した。頑張ったなあ!
金融コンサルタントの業務に戻りたいけれど今までのような頭の使い方ができない、と悩みを話した女性がポロポロと涙を流した。「そうなんです。普通に見えるから、家族も、わかってはくれないんです」
できない、苦しい。伝わらない。
そんなもどかしさを共有できるのは、痛みを知る人だけが持つ、特殊能力だと思った。
脳の損傷という大きな試練を一つずつ乗り越えながら、生きる毎日。
その生き方を、そうやって生きている人を、励まし合い、称え合う
それぞれの表情をじっと見つめながら話を聞いている皆さん
きれいな優しい心がここには満ちている
そう、生きる目標って、自分の中にきれいな心を育てることしかない。
そしてここにお手本になる人達がいる。
最後に総院長が一言
「皆さんの言葉はどんな教科書より、知見を与えてくれる、とても貴重なものです」
海ちゃんの担当のST Iさんは「海付さんがこんなにしっかり喋ってくださってびっくりです」と言ってくれた。
すべての日々が報われたような、幸せな気持ち。
海ちゃんからのギフトだね。本当にありがとう お疲れ様!
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